『スタニスラフスキーは言っていました。 赤ん坊のように無邪気にならないうちは、舞台に立ってはいけない、と。』

『あなた方俳優は、馬鹿になるのが怖い。 真面目でかっこいいヒーローを演じたいのでしょう。でも、観客は赤ん坊のように目の前で起こることに夢中になり、自分を忘れている人に惹きつけられるのですよ。』

『他の国の俳優たちが持っていないもの。 あなたたち日本人にしか与えられなかった感覚。どうかそれを大事にして下さい。』

『わたし達の芸術には、うまい・へた　という言葉は存在しません。大切なのは、正しいか正しくないか。うまく泣いているように見せられるか、うまくセリフを言い回す事が出来るかではなく、本当のあなたのまま、正しく【行動】出来ているか。それだけなのです。』

『ここは、演技のテクニックを教える場所ではない。あなた方の中に【真実の感覚】を育て、余分な知性のスイッチを切り、【心】を使うことを学ぶ場所、自分だけに合う【鍵】をみつけ、本当に【生きる】とは何かを体で掴む場所です。』

『唯一重要なのは、あなた方の心が開いているかどうかだけ。それ以外には何も必要ないのです。心が開いてくれれば、その他の事はすべて【自然】に起こります。』

『心で聞く、心で見る、心で考える。すべてのはじまりはそこからです。』

『俳優たちが、子供の頃のごっこ遊びのように役になりきり、その世界でワクワク出来たら、それは天才的な舞台になるでしょう。』

『役とは、セリフを覚えてそれを上手に話すことではありません。役とは、作家が書いた他人の言葉を、自分の考え、感情で埋めて奏でることです。』

『あなた方俳優たちが、舞台で本当に生きてください。観客たちは、演技ではなく、生きるエネルギーを求めて劇場に足を運ぶのです。』

『知性が必要になるのは、舞台から落ちないように注意する時くらいです。いざ舞台に出たら、余計な頭のスイッチは切り、すべてを忘れて相手と【今、ここ】に集中すること、心のスイッチを入れることが一番大切です。』

『あなた方俳優の仕事とは、決して誰かになりきることではありません。あなた自身を役の状況の中に置いてみて、【もしも】私だったらどうするか？を問いかけ、それに誠実に答えようとすること。ここではじめて、あなたと役の融合がスタートするのです。』

『あなた方は、舞台の上でまるで試験を受けているかのように緊張しています。 創造には良い悪いはありません。全てトレーニングです。やる前から上手くいくかを恐れず、やって失敗したら又試せばいいだけです。失敗も思い切って失敗して下さい。』

『あなたは、演出家や家族に気に入られる為に舞台に立つ訳ではない筈です。 作品を通して、そして与えられた自分の役を通して、あなたは観客に何を伝えたいですか。その事を考え続けてください。』

『ここで学ぶこと全ては、観られているという【俳優的自己感覚】から、ごく自然で人間らしい【創造的自己感覚】に如何にスイッチを切り換えるかにフォーカスしています。』

『俳優の仕事とは、役になりきることではありません。もしもあなたが役の状況におかれたら、自分はどうするか？を考え、舞台上で【行動act】する。それが、俳優actorの仕事です。』